この物語はぜひ親子喧嘩したら読んでほしい、リアルエピソード。。。
とても仲良しだった親子関係
小学校6年生から塾に通っているAさん。親と子供の中はとてもよく、友達のような関係です。
中学校入学後も学校の成績は常に上位をキープし、定期テストも毎回高得点を叩き出すとても優秀な生徒でした。
そして月日は流れ、中学3年生を迎えた夏の日。ある事件が勃発してしまいます。
このA君の志望校は県内屈指の進学校。 A君は確かに勉強をがんばっていますが、今のままの成績ではとても足りません。そこで心配になった母親が塾に電話をかけてきました。
「私の娘は、このままでは合格できないと思います。先生、何とかして私の娘を説得して、もう少しランクを下げた学校を進めてもらえないでしょうか?」
おそらく子供をなんとか合格させたいという思いが強いから、このような電話をかけてきたのだと思います。そのため、合格の可能性が低い学校へのチャレンジは危険と親が判断していました。
しかしながら、ここである違和感に私は気づきました。
私が感じた違和感・・・。
今までこの母親は子供の進路に対し、助言やアドバイスをすることはあっても、子供の可能性を無理やり止めてまで別の道を進ませるというようなことは一切してこなかった母親でした。
そのような母親が、今回の「進路を変更して欲しい」ということを伝えてきた時にやはり強い違和感を感じました。
私自身、母親の思いを聞き、私の言葉で生徒に状況を伝えました。もちろん母親から電話がかかってきたことは一切伝えていません。そして生徒と話をしていると、ある疑問が湧き上がってきました。
その疑問は、中学3年生になってから、母親が受験のことや進路のことについて毎日しつこく、口にを出すようになってきたそうです。
子供自身もどのようにしていいのかがわからなくなってきて、最近親と口をきくことすらとても嫌になってきたと言っていました。
受験が原因で大喧嘩?
この親子間の問題は、夏を過ぎても、そして12月過ぎてもこの問題は解決せず、毎日毎日喧嘩をしていたそうです。
そんなある日、母親から3者面談を希望され、進路の話をすることになりました。その面談で母親と子供はかなりの大声をあげて口論をしてしまいました。
近くにいた生徒もとても驚いている様子です。
生徒A「えっ、なんか、あったんですか。。。先生??」
私「大丈夫。気にしないで。。。」
あまりにもヒートアップしている状況だったので、別々の教室に呼んで、個別で面談をすることにしました。
個別面談のときに大切なこにきづく。。。
この個別面談いろいろなことをききました。
母親は子供のことを想い、多くの受験情報を調べ、子供になんとかうまくいってほしいという思いで、応援している。どうして一生懸命になっているのに私のことを理解してくれないの。
母親の頑張りを全く理解しようとしない子供に対する苛立ち。
反対に子供に話を聞いてみると。
子供は第一志望に合格して母親を少しでも喜ばせたい。そして最終的にお医者さんになり多くの人を救いたい。
どうして理解してくれないの。
要するに、
母親は、このことを大切に思い。子は母の思いに応えようと必死になっていた。
このことに、この親子はもしかすると少し気づいていたのかもしれません。ただ。受験が近づくと同時に感情的になり、お互いの気持ちがずっとぶつかってきたのかもしれません。
喧嘩をすることで精神を安定させているような感じです。。。
合格発表当日・・・。
そして月日はあっという間に流れ。受験当日の日を迎えました。この日も一向に、お互い口をきくことはなく、受験が終わりました。
数日後、時が経ち。合格発表の日。彼女は1人で受験会場に向かったそうです。それもそのはず、いまだに母親と口を全く聞いていなかったからです。
1歩1歩受験会場に近づくにつれて、緊張が高鳴ります。ものすごい不安が襲ってきます。それでも彼女は1歩1歩合格発表の会場に進みます。
会場には多くの受験生や親子連れがいました。
そして、その大勢の中の1人として、高まる緊張をおさえながら、ゆっくりと合格掲示板を見ました。1、2、5、6、9・・・。無機質な数字だけが並んでいます。
当然、進学校だけあって番号が、飛んでいます。。。
・・・35、38、40・・・
彼女自身の受験番号は47番でした。
「きゃ〜!!!」
自分のとなりにいた受験生と親子は合格した喜びではしゃぎ、泣きながらだきあって喜んでいる。
「お母さん・・・大丈夫かな私。。。」彼女は心の中で何度も何度も、つぶやきました。
そしてもう一度気を取り直し、ゆっくり掲示板を目にしました。
41、
44、
45・・・
47、
51、
52、
???47???
もう1度掲示板を見直しました。
え。。。
嘘。。。
47番ある。。。
自分の受験番号を再度強くにぎりしめ、「やった〜〜」と大声を上げました。
それと同時に、彼女はひざから崩れ落ち、声をあげてその場で大号泣しました。
そして、彼女の肩を後ろからポンとたたいた人がいました。そこには母親がいました。
母親は?受験当日。なんとか合格して欲しいと。ずっと彼女にお守りを渡したかったそうです。
しかしながら。お互い。感情と感情がぶつかり合い。お守りを渡すことができませんでした。そして受験合格発表当日。母親自身も一緒に付いて行くという一言が言えず、母親は子供が家を出てから、その後。すぐに会場に向かったそうです。
合格発表後。彼女と母親は?塾にきてくれました。
先生無事合格することができました。でも、それ以上に嬉しかったことが私にはあります。
合格以上に嬉しいことってあるの?。
それは?お母さんと仲良くできたことです。
彼女のあの笑顔は今でも忘れません。
そして母親は
私もこの受験を通じてとても成長することができました。大人になって行く自分の娘の姿を見ていると。本当に誇らしく思います。
そして私の娘はもう立派な大人だと感じることも、この受験を通じてできました。
今後、私たちは。もしかするとまた喧嘩するかもしれません。しかしながら、お互い本音を言い合える。そんな親子でいたいと思います。